人生の糧は人それぞれ

マンガ中心にたんたんと書きます。

ゆき林檎「グッドバイライラック」

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【ネタバレ有ります】

高校教師の笠井には気になる生徒がいました。
加藤は平気でタバコ吸ったり何かと手の掛かる生徒でしたが笠井によく懐いており、笠井もそんな加藤が生徒としてかわいく思っていたのですが、、

「先生のためならスカートもはいて化粧もするよ」

薄々気付いていた加藤の自分への好意に笠井は生徒とは一線を越えることはないと告げ、加藤はそのまま笠井とは距離をとり卒業します。
数年後それまで加藤とは会うことはありませんでしたが加藤は教師として戻ってきます。



笠井先生にとって加藤はどこか特別だった気持ちがあったとは思いますが、教師としての立場と以前生徒との噂で干された教師の末路を見てるせいでストッパーがかかっていて、そしてそんな思いを加藤にさせないためにきちんと一線を引いてたのかなと思いました。


加藤はどうにか忘れようと恋人作ったりしてましたが再会したことでまだ気持ちが残ってることを自覚し、さらに笠井が二人の思い出があるメンソールのタバコを吸ってるのを見て、先生の中で少しでも自分の存在があったかもしれないと動揺し、そこからは積極的に笠井に尽くしていきます。
その行動力がすごいです。
恋人とは無理やり別れ、笠井のマンションの下の階に引っ越し、毎日通い妻のように部屋へ押しかけます。


笠井は文句を言ったりはしても拒絶はしませんでした。
どうしても見放せない、困った時は助けてやりたい、その気持ちを自分にとって可愛い元教え子だからと思っていました。
それがふとしたきっかけで加藤とSEXしてしまい、必死に守ってきた教師としての自分が崩れ落ちていくように感じてしまいます。


その後元カレからのリベンジポルノで加藤は辞職することになります。
それを知り笠井は校長に加藤の教師としての未来を奪わないでほしいと必死に訴えます。
やはり生徒のときから守りたかった気持ちが大きかったのかなと思いました。
加藤のために先生と教え子の立場を守って、 笠井先生は優しくて常識あるとても良い先生ですね。


「愛しいよ」

加藤が「オレのこと好きですか?」と質問したときの返事です。
好きでもなく、愛してるでもなく、愛しいという答えが自分にはとてもしっくりきまして、そういう愛情表現もいいなあと感動しました。


それにしても加藤くん、教師になるまでの私生活乱れすぎです。
好きになった人が良い先生でよかったですね。
じゃないといろいろ節操なさそうで。。


1巻完結の短い話ですが、良質でしっとりしたなかなか良い作品でした。