人生の糧は人それぞれ

マンガ中心にたんたんと書きます。

あきづき空太「赤髪の白雪姫」

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LaLaにて絶賛連載中のあきづき空太さんによるファンタジー
林檎のような赤い髪を持つ少女白雪はその珍しさから自国タンバルンのバカ王子ラジから愛妾になるように命令を受けます。
しかしそんな馬鹿らしい理由で自分の道を決められたくないと拒否する形で髪を残し国を出ます。
その道中の隣国のクラリネスの森で白雪はゼンという少年に出会います。
ゼンは最初は白雪を疑って横柄な態度をとりましたが、事情を聞き出し白雪の負けずに立ち向かおうとするたくましい姿勢を気に入ります。
しかし恥を晒したくないラジ王子は森まで追いかけてゼンはそれに巻き込まれてしまいます。
毒林檎を食べてしまったゼンを助けるために白雪は自身をさし出そうとしますがゼンがそれを阻止します。
ゼンはクラリネス王国の第二王子だったのです。
それから災難の元となった赤髪を運命と信じたいと言って救ってくれたゼンを近くで見ていたいという自分の願いを叶えるため白雪はクラリネスに移住し宮廷薬剤師を目指します。


【ネタバレシーン有ります】

まずこのマンガの魅力はです。
あきづき空太さんの絵がめちゃくちゃ好きです。
とにかく衣装のデザインが良くて細工も細かく描き込まれていてとてもキレイです。
そして王子と平民女子の恋とありがちな少女漫画なのに他と違って惹かれる理由は二人の関係が嫌らしくないというところでしょうか。
王子といえばキザだったりませてるイメージがあったりしますがそんことはなく、対等で自然です。
白雪もさっぱりしてるので見てて気持ちいいです。
私が一番好きなシーンがあるんですが、それが両想いになる告白のシーンです。
最大の見せ場といってもいいくらいに重要なシーンなんですが、これが私にとって好きなシーン上位にくい込む程とても良いです。
白雪に惹かれていたゼンはある事件をキッカケに白雪にキスをしてしまいます。
それを意識してしまってまともに目を見れない白雪は森に逃げ込み、ゼンはそこでちゃんと自分の想いを告げるために追いかけます。
二人の出会いも森でした。
二人でたわいもない話をするうちに白雪も自分の気持ちを自覚します。
「ゼンが好きですごく大事で力になりたくて、だから今までと同じようにゼンを見ていたいって望んでいいのか分からなくて・・・」
そんなゼンは今まで友人のような関係でしたがここでまさに絵に描いたような王子らしく白雪の前に剣を置き跪きます。
「俺も望んでいて、これから先も共にいたい。この出会いにかけてお互いの望みを守り抜くからこの手を取ってほしい。」
そしてそれを聞いた白雪も膝をついて同じ目線になると差し出された手を取って言います。
「はい、ゼン王子」
誰もが夢見るような告白、見てて恥ずかしい!と思いそうな告白なのにそれが素直にステキと思えるように描かれています。
普段は白雪は王子とは呼ばないし、ゼンも先ほど書いたようにキザなことするようなキャラではありません。
そして白雪も膝をつくっていうところが本当に素晴らしいです。
ゼンにとって王子であるかぎり対等な存在はなく、相手の想いも真の答えなのか疑うときもありました。
これがまさにあきづき空太さんの手腕で、見事してやられました。
その流れのままでキスをしようとするところの絵がまた良いんですよね。
隙間から光が漏れてて、首に手をかけてる感じとかすごくキレイです。
これが4巻でのエピソードです。
曖昧な関係を引っ張りすぎてなくてちょうど良いです。
しかしここからが長い。

あとこのマンガの特長で、言い回しが少し独特な気がします。
特にゼンのお兄さんのイザナ王子の言い回しはまさに察しろというような遠回しなセリフが多い気がします。
ただこれが他のマンガとは違う特長になってて魅力にもなっています。
そして欠かせないのがミツヒデ・木々・オビの3人でしょうか。
ゼンの従者として程よい距離感で見守り支えていきます。
オビは途中からゼンの下に就いて共に行動するのですが、白雪への想いがありながら奪うのではなく二人のために白雪の側で動くことを決意します。
ゼンもオビの気持ちを知りながらリリアスの白雪の元に送るってどんだけ出来た人やつなんだ。
私の同居人は一波乱あることを望んでいました。

ゼンと白雪の行く末を母のように暖かく見守ってきましたが、正直そろそろもう少し進展してほしいと思っています。
そろそろ、そろそろそういう意味で一夜共にしてもいいんじゃないですか?
こんなこと思う私は不届き者でしょうか。
やっぱダメですかね。