人生の糧は人それぞれ

マンガ中心にたんたんと書きます。

吉田秋生「BANANA FISH」

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祝☆アニメ化

少女マンガ×アクション×ミステリー

言わずと知れた不朽の名作。
一見少女マンガとは関係なさそうなジャンルが見事に融合して、女性作家だからこそ描ける画によって男の世界がさらに魅力的になって画かれてます。

【ネタバレ有ります】
物語はBANANA FISHの謎を巡ってのミステリーを主軸に進みます。
これがあるからこそこの作品はこんなにも魅力的だと思います。
BANANA FISH」とは何なのか。
疑問に好奇心を掴まれ、物事は徐々に悪化していき、気づいた時には主人公たちと一緒に深溝に嵌まっていきます。
舞台は80年代のニューヨーク。
ギャングのリーダーのアッシュの目の前で一人の男が殺されます。
その男が最後に発した言葉「BANANA FISH」。
それはベトナム戦争で廃人になって戻ってきた最愛の兄が時折口にする言葉でした。
そしてその頃日本から伊部と奥村英二が取材のためニューヨークに訪れ、英二はアッシュと運命の出会いをするのです。

アッシュは男も息を呑むような美貌を持ち、IQは200、さらにギャングを束ねる指導力とカリスマ性を持ってます。
そう、とても美しいんです。
マンガの絵も最初は浦沢直樹のパイナップル・アーミーのような無骨な絵寄りだったのに徐々に細く中性的に変貌していきます。
そのカリスマ性のせいで良い意味でも悪い意味でも目をつけられて苦しみます。
英二は幼い見た目で頼りなく思われてますが、やはりそこは年上で、アッシュの精神的主柱として、兄のような存在で支えます。

二人の関係はBLのようで違う、それ以上のようなものに見えました。
関係性を上手く表してるのがAnother Storyに収録されている「光の庭」のシンの言葉で納得しました。
二人は魂の深いところで繋がっていた
唯一無垢な心で接してくれる英二をアッシュは必死に守ろうとします。
自分は傷ついてもいいから。
いつもはリーダーとして振る舞うアッシュも英二と話すときは年相応の十代に戻ってるのが見てて分かるんです。
すぐ隣で闇が手招きしてるのを必死にもがきながら、堕ちないように、永遠のように思える地獄から抜け出すために戦う姿はとても辛かったです。
だから最後は幸せになってほしかったです。
きっと心は救われていたとしても。
最後は涙が止まりませんでした。
静と動の描写が良くて、映像的で、感情移入させられる吉田さんの手腕に、改めて読んで名作だと実感させられました。
復刻版、欲しいです。

アニメの予告編も素晴らしい出来で、最初は今風になったアッシュやツンツンじゃなくてもっさりヘアーになった英二に違和感を感じましたが、予告編見たらそんな心配は吹き飛びました。
放送が楽しみです。

TVアニメ「BANANA FISH」第2弾PV - YouTube