人生の糧は人それぞれ

マンガ中心にたんたんと書きます。

モリエサトシ「親愛なるA嬢へのミステリー」

f:id:flat_mountain_m:20180520115541j:plain

全3巻で完結。
好きな作品だったので完結したのは淋しいですけど、物語としてほどよい巻数かなとも思います。

本好きで物語の世界に浸ってばかりの綾乃は現実にも目を向けてほしいと、ある事件がきっかけで断筆中の小説家・能見啓千のお世話をすることになります。
能見は今は素人探偵として時々警察の事件捜査の協力をしてるのですが、それは彼がきっかけで何故か奇怪な事件が起きてしまうからで、そして綾乃も事件に捲き込まれていきます。

能見には人を魅了するカリスマ性があり、そのせいで人の人生が狂わされていくのを見るのが辛く傷ついているのですが、綾乃にはそのカリスマ性が全く通用しません。
綾乃は周りに流されず、自分の目でしっかり見れる強さがあります。
だからこそ親がなんと言おうと自分の好きな世界に浸ることをなんとも思いません。
能見は自分のことを小説家・都筑応居としてではなく、能見啓千としてちゃんと見てくれる綾乃に惹かれて救われていきます。
綾乃も能見の悲しみを知り、彼のことを知りたいと思うのです。

16歳の少女に救われていくというのがステキだなと。
綾乃ちゃんのブレない芯の強さは私も憧れます。

またコミックカバーがとても好きです。
黒線と温かみのある白を基調に差し色のグラデーションが映えててとても良いですね。