人生の糧は人それぞれ

マンガ中心にたんたんと書きます。

安堂維子里「バタフライ・ストレージ」

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人が死ぬと肉体を捨てて蝶になり、体は朽ちて塵になってしまう――
そんな世界が舞台の近未来SFアクションマンガ。


飛行機事故で両親を失い、自身も頭を負傷した小野百士は謎の男に妹の千里の蝶を目の前で食われるのを見ます。
14年後、百士は死人の蝶を回収・保管する国家機関「死局」の特殊捕蝶班に所属しながら謎の男の手掛かりを探していました。
何故なら妹は肉体から蝶が出て奪われていながら今も体は朽ちることなく、時が止まったように当時のまま意識もない状態で生きていたからです。
蝶にはその人物の情報が詰まっており回収されると冷凍保存され、記憶は止まりますが家族は死局に来れば映像で投影された本人といつでも話すことが出来ます。
百士は男から蝶を取り戻し、千里の肉体に戻すために男を追いかけます。


百士は事故のこともあって蝶への執着心が異常に強く、よく命令を無視して蝶の捕獲を優先に動いてしまいます。
そして妹への愛情も強すぎるため、毎日話しかけ、時には自作のポエムを披露して妹が何かの変化・反応することをずっと待ち続けます。
妹の存在はチームのメンバーに伝えてますが入院の理由は隠し続けていました。
政府に妹を奪われることを恐れたからです。


百士の班のメンバーもそれぞれ個性的で、195cmの筋肉隆々の女班長の荒井、関西弁で百士が気にくわない神田、男を食いまくる性欲モンスター佐川、見た目中年オヤジなのに班の中で最強の田中、特に田中さんは組織の重鎮で班長の荒井を指導しながら自分は裏で密かに動いてたりします。
そしてみんな訳ありの過去があります。


世界観が少しアニメのサイコパスに似ていて、死局に回収された蝶は一ヶ所に保管され、「大会議」で国の方向性を蝶の総意を聞いたりします。
そして武器は今の武器の少し進化系なので別次元ではなく普通に銃や格闘で戦うスタイルなのが良いです。


蝶を奪う謎の組織の目的は何か、蝶を食う男の存在、蝶を保管することを反対する宗教組織との敵対、裏で暗躍する田中さんの目的は何なのか。
物語は残念ながら「第一部 完」という名で中途半端に終わってしまいました。
読み終えて「どういうことなのー!」と心の中で叫びました。
第二部はあると信じていいんでしょうか。
絵も良かったですし普通に面白かったと思っていたのですが。。


最強のオヤジ田中さんがカッコ良かったです。
オヤジが強いってカッコいいです。


単行本全4巻出てます。